介護・障害福祉事業所を開設できる用途地域
介護・障害福祉の事業所は、入所・居住系と通所系なら多くの用途地域で開設でき、訪問・相談系は「事務所」扱いのため住居専用地域では制限を受けます。
開設できる用途地域は、事業の種類で変わります
介護・障害福祉の事業所は、入所・居住系と通所系なら多くの用途地域で開設でき、訪問・相談系は「事務所」扱いのため住居専用地域では制限を受けます。
物件を契約する前に、まず次の3つの型を押さえておきましょう。
| 入所・居住系 | 障害者支援施設、特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、グループホームなど | 工業専用地域を除き、第一種低層住居専用地域でも開設できます。 |
|---|---|---|
| 通所系 | デイサービス、生活介護、就労継続支援、児童発達支援、放課後等デイサービスなど | 多くは「福祉施設」として扱われます。低層住居専用地域では、延べ面積600㎡の線引きや、自治体による分類の違いが影響します。 |
| 訪問・相談系 | 訪問介護、居宅介護、相談支援 | 建築基準法上は「事務所」です。第一種・第二種低層住居専用地域と第一種中高層住居専用地域では、原則として開設できません。 |
なお、建築基準法上の用途の分類は自治体ごとに少しずつ異なります。
この記事の表は目安として使い、物件を決める前に必ず自治体の建築指導課へ確認してください。
用途地域とは?事業所探しで最初に確認する理由
用途地域は、都市計画法で定められた13種類の区分です。
区分ごとに、建築基準法で建てられる建物の用途が決まっています。
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事業所の物件は、契約してから「その用途では使えない」と分かると、指定申請そのものが進みません。
賃料や立地より先に、用途地域を確認するのが鉄則です。
調べ方は簡単で、物件の所在地がある市区町村の「都市計画情報」や「用途地域マップ」で住所を検索すれば、用途地域が分かります。
用途地域別の早見表
低層住居専用地域でも開設できるのは、入所・居住系と、通所系の一部です。工業専用地域は、入所系と児童発達支援などが不可になります。
○:建築できる ×:建築できない ▲:面積や階数などの条件付き
上の表は、障害福祉サービスの事業所を開く場所として、用途地域ごとに建てられるかどうかを大まかにまとめたものです。
〇は建てられる、×は建てられない、▲は面積や階数などの条件つきで建てられることを表しています。
たとえば、生活介護・就労継続支援・放課後等デイサービスは、低層住居専用地域や田園住居地域では、事業に使う部分の床面積が600㎡以内であれば開設できます。
一方、訪問介護や相談支援などの事務所は、低層住居専用地域では原則として建てられません。
ただし、居住部分が延べ面積の2分の1以上あり、事務所部分が50㎡以下という「兼用住宅」であれば、認められる場合があります。
物件を決める前に、ぜひ気をつけていただきたい点もあります。
表はあくまで目安で、実際の判断は自治体ごとに異なることがあります。
市街化調整区域や地区計画などで、別の制限がかかる場合もあります。
また、既存の建物を福祉施設に転用するときは、用途変更の確認申請が必要になることがあります。
一般には、変更する部分が200㎡を超えるときが目安です。
そのほか、消防法やバリアフリーに関する基準を満たす必要もあります。
賃貸借契約を結んだあとで「ここでは開設できなかった」とならないよう、契約の前に、物件のある市区町村の建築指導の窓口へご確認ください。
注意:取扱いは自治体によって異なります。
同じ事業でも、どの用途として扱うか、面積や階数の条件をどう見るかは、自治体(特定行政庁)ごとに違います。
この表が、物件の所在地の自治体にそのまま当てはまるとは限りませんので、必ず物件のある自治体の建築指導課や福祉担当課に確認してくださいね。
事業別の注意点
| 障害者グループホーム | 用途地域の制限は、共同住宅や寄宿舎と同じです。工業専用地域以外で開設できます。ただし建築基準法では「寄宿舎」などとして扱われることが多く、防火・避難の基準が一般の住宅より厳しくなります。 |
|---|---|
| 入所系・老人ホーム系 | 工業専用地域では建築できません。住居系や商業系の地域が中心になります。 |
| デイサービス・児童発達支援 | 低層住居専用地域でも、面積の制限なく開設できる扱いが一般的です。工業専用地域は不可です。 |
| 生活介護・就労継続支援・放課後等デイサービス | 低層住居専用地域では、延べ面積600㎡以内であれば開設できます。600㎡を超えると不可です。就労継続支援は、作業内容によっては工場として扱われる場合があります。 |
| 訪問系・相談系 | 利用者が事業所に来ない事業でも、建物は「事務所」として扱われます。低層住居専用地域では自宅兼用でない限り開設できません。 |
同じ「通所系」でも、事業によって制限が違う点に注意してください。
たとえば児童発達支援は低層住居専用地域でも面積制限なしですが、放課後等デイサービスは600㎡の線引きがある自治体があります。
自治体によって扱いが分かれる点
建築基準法は全国共通ですが、福祉事業所がどの用途に当たるかは、管轄自治体(建築指導課など)の判断で分かれ、同じ事業でも、結論が変わることがあります。
- 分類の違い
愛知県の例規集では、児童発達支援を行う施設は老人ホームなどと同じ区分、放課後等デイサービスを行う施設は児童厚生施設と同じ区分に分けています(愛知県建築基準法関係例規集)。他の自治体が同じ分類とは限りません。 - グループホームの扱い
大阪府箕面市の案内では、グループホームは建築基準法上「寄宿舎」や「児童福祉施設等」に位置づけられ、一般の住宅より要件が厳しいとされています。そのうえで、大阪府内の行政庁で協議した結果、一定の安全性を満たす既存住宅は「戸建て住宅」または「共同住宅」として扱う取り決めがあります(箕面市の案内ページ)。消防法の扱いは別に確認が必要です。 - 確認する窓口
建築基準法は建築指導課、指定基準は障害福祉課や高齢福祉課、消防法は消防署です。窓口ごとに見る観点が違うため、回答を記録に残しておくと安心です。
京都府・京都市・滋賀県・大阪府・大阪市・兵庫県など関西の各自治体でも、取扱いの細部は異なる可能性があります。
物件の所在地の自治体に必ず確認するようにしましょう。
用途地域のほかに確認すること
用途地域が「建築できる」でも、そのまま開設できるとは限りません。
次の項目も、物件を決める前にあわせて確認します。
市街化区域か市街化調整区域か
市街化調整区域は建物の新築が原則抑えられており、福祉施設でも許可が必要になる場合があります。
地区計画・条例
用途地域よりさらに細かい用途制限がかかる地域があります。
住民説明が求められる自治体もあります。
用途変更の確認申請
既存の建物を福祉施設に変える場合、用途変更部分の床面積が200㎡を超えると、建築確認申請が必要です。
建ぺい率・容積率
新築や増築で計画する場合、敷地に対して建てられる面積の上限があります。
消防法
施設の規模や入所の有無で、スプリンクラーや自動火災報知設備などの設置基準が変わります。
消防署への事前相談が欠かせません。
バリアフリー条例・指定基準
出入口の幅、段差、トイレなどの設備基準があります。
放課後等デイサービスなどは、自治体によって総量規制や公募もあります。
指定申請に必要な設備基準とあわせて、建築・消防の両方をクリアできる物件かを見極めることが、開設を急ぐ一番の近道です。
物件探しの進め方:契約前の5ステップ
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事前相談の前に契約を済ませてしまい、用途や設備の基準を満たせず、物件を借り直すケースは少なくありませんので、十分に事前調査を行う必要があると思います。
よくあるご質問
Q. 低層住居専用地域でも、障害福祉サービスの事業所は開設できますか?
A. 事業によります。グループホームなどの居住系と、通所系の多くは開設できます。
通所系は、延べ面積600㎡以内などの条件が付く場合があります。訪問系・相談系は、自宅兼用の場合を除いて開設できません。
Q. 工業専用地域では、どの事業所なら開設できますか?
A. 訪問系・相談系(事務所)と、通所系の一部は開設できます。
一方、グループホーム、入所施設、老人ホーム、デイサービス、児童発達支援は建築できません。
Q. 自宅を使って訪問介護や居宅介護の事業所を開けますか?
A. 低層住居専用地域では、兼用住宅の要件を満たせば可能です。
事務所部分が50㎡以下かつ延べ面積の2分の1以下で、住宅部分と建物内で行き来できることなどが条件です。
Q. 既存の建物を借りる場合も、用途変更は必要ですか?
A. 用途変更する部分が200㎡を超える場合は、建築確認申請が必要です。
200㎡以下でも、用途地域や防火・避難などの基準を満たす必要はあります。
各種許認可申請について
介護・障害福祉事業以外の許認可申請についてお調べの方は、ひかり行政書士法人の総合サイト「許認可.net」もぜひご覧ください。
介護・障害福祉事業の指定申請についてのお問合わせ
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