ここでは介護事業・障害福祉事業を行うために必要な会社(法人格)の設立手続きについて解説していこうと思います。
主に選択される法人格は、次のいずれかであるかと思いますので、順番におおよその流れについて説明していきますね。
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株式会社設立の流れ
新会社法では、株式譲渡制限会社であるかどうかが制度設計の新たな基準となっています。
「株式譲渡制限会社」とは、すべての株式の譲渡を制限している株式会社のことで、会社にとって好ましくない人が株主にならないように、株式を得るときに会社の承認を得ることを義務付けている会社のことです。
上場企業でない中小企業のような株式会社の設立では、「株式譲渡制限会社」での設立がほとんどですので、ここではその場合について解説します。
① 会社設立の準備
まずは、設立したい会社の概要、商号、事業目的、発起人、役員、資本金額、本店所在地などを決める必要があります。
会社概要の決定
設立したい会社の概要をおおまかに決定しましょう。
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② 会社組織の決定事項
会社組織の機関として主なものは以下の通りです。
それぞれを決定する必要があります。
株主総会 | 必ず設置する必要があります。 |
取締役 | 1名以上設置する必要があります。 |
代表取締役 | 1名以上設置する必要があります。 |
取締役会 | 任意設置となります。設置する場合には、取締役3名以上・監査役1名以上の設置が必要となります。 |
監査役 | 任意設置となります。取締役会を設置する際には、必須となります。 |
取締役・監査役の任期 | 原則取締役2年・監査役4年ですが、株式譲渡制限会社では、それぞれ10年まで延長することが可能です。 |
③ 商号調査、事業目的の確認
本店所在地を管轄する法務局で確認しましょう。
管轄法務局一覧
会社の商号
会社名を定めるにあたっては、法律上以下の制限があります。
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商号調査
以前は、他人の登記した商号は「類似商号規制」といって、同一市町村で同一の営業のため使用することはできませんでした。 現在は「類似商号規制」は廃止されていますが、「同一の所在地での同一の商号の登記」は禁止されています。 逆に言えば、同じ住所でなければ同じ商号でも大丈夫ということです。 一軒家の中に同じ商号を持つ会社がある可能性は低いですし、マンションであれば号室が違えば問題はありません。 同じ住所で同じ商号は可能性としてはかなり低いと思いますので、商号調査は重要ではなくなりました。 では、住所は同じでないのなら有名企業やご近所の会社と同じ商号でも大丈夫なのかというと、実はそうでもありません。 新会社法や不正競争防止法で不正の目的をもって他の会社と誤認されるような会社の名前や同一の会社の名前であることで他社の営業上の利益を損害したりすると、損害賠償請求できる旨が定められています。 やはり念のためにも商号調査をおこなう必要はあるでしょう。 |
事業目的の確認
新会社法になり、事業目的の記載内容は包括的な記載でOKになりました。 ですが、明確性に欠けるものや違法性のあるものはやはり認められないものもあります。 また、許認可が必要な事業についても、事業目的を入念に確認しておく必要があります。 事業目的の条文の文言が許認可の要件のひとつとなっていることもあり、一致していない場合には許認可がおりないということもあります。 許認可を必要とする場合には、許認可を担当する役所にも確認するなどの入念さが必要になるでしょう。 |
④ 会社の代表印の注文
会社設立をスムーズに行うためにも、この時点で会社の代表印を作成しましょう。 法務局では、特に様式などは求められせんが、外枠に「商号」、内枠に「代表者取締役印」と表記されたものが一般的です。 特にこだわりのない方は、ヤフーオークションなどで代表印、角印、銀行印の3本セットで6千円くらいから注文することができます。 |
⑤ 定款の作成
定款とは、会社の名前・目的・所在地などのその会社の決まりごとが記載された書類です。 定款には、必ず記載しなければならない事項・記載しなくてもいい事項・記載すれば効力を発する事項の3つの事項があります。 これらを設立する予定の会社に最もあった形で作成します。 特に注意が必要なのは、出資者や役員の氏名・住所です。 氏名・住所が印鑑証明書通りでない場合、訂正が入ってしまいます。 例えば、「高」と「髙_」、「1番地11」と「1番11」などはそれぞれ別のものと判断され、訂正されてしまいます。 |
⑥ 定款認証又は電子定款認証
定款の作成が終わると、いよいよ公証役場で定款認証をする必要があります。 定款は認証されてはじめて、法的な効力を発します。 定款認証は非常に厳格で、誤字・脱字があれば訂正されますし、場合によっては再認証ということということもあります。 また電子定款認証の場合は、その場での訂正ができません。特に注意が必要となります。 |
⑦ 資本金の払い込み
定款に記載された資本金額を、発起人(資本金の出資者)名義の銀行口座に振り込みます。 例えば、300万円の資本金額の会社で、発起人の銀行通帳にたまたま20万円残額があった場合でも、280万円を振り込むのではなく、300万円ちょうどを振り込む必要があります。 そして、通帳の表紙、中表紙、振込みの記載のあるページのコピーをとり、「払込み証明書」を作成します。 |
⑧ 登記に必要な書類の作成
登記申請に必要となる添付書類を作成します。必要書類として以下のものなどがありますが、会社の設立形態によって添付する書類は変わります。
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⑨ 登記申請
登記に必要な書類が揃ったら、資本金を振り込んだ後2週間以内に管轄の法務局へ登記申請をおこないます。 会社の設立日は、法務局への登記申請を行った日となります。 法務局への登記申請後、1週間程度で登記簿謄本を取得することができますになります。 |
⑩ 設立後の諸届出
登記完了後、会社の銀行口座の開設や各役所への諸届出を行います。 ほとんどの届出が添付書類として登記簿謄本が必要となりますので、必要部数を確認した後に取得することをお勧めします。 |
合同会社設立の流れ
まずは、設立したい会社の概要、会社名(商号)、事業目的、役員、資本金額、本店所在地などを決める必要があります。
① 会社の概要の決定
設立したい会社の概要をおおまかに決定しましょう。
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② 定款の作成
合同会社は定款認証は必要ありませんが、定款の作成が必要となります。
また、法務局への登記申請の際、紙で作成した定款を添付すると、収入印紙4万円を貼り付ける必要がありますが、電子署名を行った電子定款を添付することで収入印紙4万円が不要となります。
定款とは、会社の名前・目的・所在地などのその会社の決まりごとが記載された書類です。 定款には、必ず記載しなければならない事項・記載しなくてもいい事項・記載すれば効力を発する事項の3つの事項があります。 これらを設立する予定の会社に最もあった形で作成します。 特に注意が必要なのは、出資者や役員の氏名・住所です。 氏名・住所が印鑑証明書通りでない場合、訂正が入ってしまいます。 例えば、「高」と「髙_」、「1番地11」と「1番11」などはそれぞれ別のものと判断され、訂正されてしまいます。 |
③ 資本金の払い込み
定款に記載された資本金額を、出資や名義の銀行口座に振り込みます。 例えば、300万円の資本金額の会社で、発起人の銀行通帳にたまたま20万円残額があった場合でも、280万円を振り込むのではなく、300万円ちょうどを振り込む必要があります。 そして、通帳の表紙、中表紙、振込みの記載のあるページのコピーをとり、「払込み証明書」を作成します。 |
④ 法務局への登記申請
登記に必要な書類が揃ったら、資本金を振り込んだ後2週間以内に管轄の法務局へ登記申請をおこないます。 会社の設立日は、法務局への登記申請を行った日となります。 法務局への登記申請後、1週間程度で登記簿謄本を取得することができますになります。 |
⑤ 設立後の諸届出
登記完了後、会社の銀行口座の開設や各役所への諸届出を行います。 ほとんどの届出が添付書類として登記簿謄本が必要となりますので、必要部数を確認した後に取得することをお勧めします。 |
一般社団法人設立の流れ
一般社団法人を設立する際の手続の流れは,次のとおりです。
①、②については設立時社員(法人成立後最初の社員となる者2名以上)が行います。
① 定款の作成並びに公証人の認証
設立時社員が定款を作成し、公証役場で定款の認証を行ないます。
絶対的記載事項(定款に必ず定める必要がある事項)
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② 設立時理事の選任
設立時監事や設立時会計監査人を置くかどうかは任意ですが、置く場合にはそれらの者の選任も同時に行ないます。
③ 設立時理事による設立手続の調査・登記申請書類の作成
設立時監事が置かれている場合は、設立手続の調査を一緒に行い、登記に必要な書類の作成を行います。
④ 設立登記の申請
定款認証から、法定の期限内に主たる事務所の所在地を管轄する法務局に設立登記の申請を行います。
NPO法人設立の流れ
① 発起人会
NPO法人の設立メンバーで法人の概要について協議し、設立趣旨書・定款・事業計画書・収支予算書などの原案の作成します。
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② 設立総会の開催
設立当初の社員が集まり、法人設立の意思決定、並びに発起人会で作成した定款などを決議します。 ※任意団体からの法人化の場合は、任意団体の財産等を新法人に継承することを確認します。
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③ 設立申請書類の取寄せ・作成
設立申請に必要な正式書類を作成し、あわせて添付が必要となる行政証明についても収集します。 |
④ 設立認証の申請
管轄の行政庁へ設立認証申請を行ないます。
形式状の不備がなければ、書類は受理されます。 |
⑤ 管轄行政庁の審査・認証の決定
設立認証書類を提出後、2ヶ月間、一般の方々に縦覧されます ※この期間内に認証・不認証が決定されます。認証の場合は「認証書」が発行されることとなります。 |
⑥ 法務局への登記申請
「認証書」を添付し、設立登記申請を行ないます。 登記手続きを完了することで、正式にNPO法人として成立することになります。 ※法人設立日は、設立登記申請書類の提出日となります |
各種許認可申請について
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