・面談(実地調査)で必要な書類・マニュアル

障害福祉サービス事業(就労継続支援、生活介護、居宅介護、放課後等デイサービスなど)を開始するには、指定権者(都道府県・政令市・中核市)による指定を受ける必要があります。

多くの自治体では、指定申請の審査過程で面談(ヒアリング)や実地調査が実施され、指定後も定期的に実地指導(運営指導)が行われます。

その際、「どの書類を準備すればよいのか分からない」「マニュアルの整備が間に合わず再面談になってしまった」というご相談を多くいただきます。

本ページでは、京都市の指定面談で求められる書類を例に、全国の自治体で共通して求められる書類・マニュアル・体制整備を一覧で解説します。

開業準備中の方はもちろん、実地指導を控えた事業者様のセルフチェックにもご活用ください。

面談(実地調査)とは

指定申請書に不備がない場合、指定希望日の2〜3週間前を目安に、指定権者の担当窓口で面談が実施されるのが一般的です(実施の有無・時期は自治体により異なります)。

面談には、管理者、サービス提供責任者またはサービス管理責任者(児童系では児童発達支援管理責任者)の出席が必須とされることが多く、本人確認のため運転免許証・マイナンバーカード等の提示を求められます。

書類に不足があると再面談となり、指定(=開業日)が遅れるおそれがあるため、事前準備が極めて重要です。

1.面談時に持参が必要な基本書類

  1. 採用・秘密保持に関する書類
  2. 資格証等の原本
  3. 指定申請書に添付した従業者の資格証・研修修了証の原本(コピー不可)
    加算の算定要件となる資格証がある場合は、その原本も確認されます。

 

項目 内容
従業者の雇用契約書 全従業者(管理者含む)分。期間の定めがない場合も雇入れ日が分かる記載が必要
秘密保持に関する契約書 全従業者分。在職中・退職後を問わず秘密を漏らさない旨の誓約。法人役員が従業者を兼ねる場合も必要

2.整備が必要なマニュアル・指針類

指定面談では、以下のマニュアルが整備されているかが確認されます。

番号1〜6は多くの自治体で共通して求められる基本セット、7以降は自治体・サービス種別によって追加で求められるものです。

  1. 重要事項説明書 — 運営規程の内容と齟齬がないこと
  2. 苦情処理マニュアル — 対応フロー図、苦情窓口一覧(事業所・法人、都道府県の運営適正化委員会、市区町村の障害福祉担当課)、記録票
  3. 緊急時対応マニュアル — 対応方法・フロー図、緊急連絡先一覧、協力医療機関
  4. 事故防止・事故発生時マニュアル — 事故防止策、対応フロー、関係機関の連絡先、行政への事故報告(様式・報告基準は自治体ごとに異なります)、再発防止策
  5. 衛生管理・感染症対策マニュアル — 設備・備品の衛生管理、感染症・食中毒の予防と発生時の措置、行政への報告
  6. 非常災害対策計画(通所・入所サービス) — 避難方法(避難経路図含む)、避難訓練計画(年2回以上)、通報体制、防災対策
  7. 虐待防止マニュアル・指針 — 通報義務、早期発見チェックリスト
  8. 身体拘束等の適正化のための指針 — やむを得ない場合の3要件(切迫性・非代替性・一時性)、記録様式
  9. 個人情報保護・プライバシー保護規程
  10. 送迎マニュアル(送迎を行う場合。児童系では乗降時の所在確認手順を含む)

3.全国共通で義務化されている体制整備(重点確認項目)

以下は運営基準上、全事業所に義務付けられている項目です。

実地指導では「計画・指針を作成しただけ」では足りず、委員会の開催記録・研修記録・訓練記録まで確認されます。

項目 内容
業務継続計画(BCP) 感染症編・自然災害編の両方を策定し、周知・研修・訓練(年1回以上)を実施
感染症対策 対策委員会の定期開催(おおむね6か月に1回以上)、指針の整備、研修・訓練
虐待防止 虐待防止委員会の定期開催、虐待防止責任者の設置、従業者研修(年1回以上)、指針
身体拘束等の適正化 適正化委員会の定期開催、指針、研修(年1回以上)、拘束時の態様・時間・理由等の記録

※虐待防止措置や身体拘束適正化を怠った場合、減算(虐待防止措置未実施減算・身体拘束廃止未実施減算)の対象となります。

4.実地指導(運営指導)で確認される記録類

指定時には求められなくても、指定後の運営指導で必ず確認される記録です。日頃からの整備をおすすめします。

  • 個別支援計画の一式 — アセスメント、計画原案、支援会議(担当者会議)の記録、本人・家族の同意(署名)、モニタリング記録
  • サービス提供記録(利用者の確認を含む)
  • 勤務実績が分かる書類 — タイムカード・出勤簿(常勤換算の裏付け)
  • 加算の算定根拠資料 — 体制届、研修修了証、実施記録など
  • 研修計画と実施記録(受講者名簿・使用資料)
  • 従業者の健康診断記録
  • 苦情・事故・ヒヤリハットの記録簿
  • 損害賠償保険の証書
  • 避難訓練・BCP訓練の実施記録

5.児童系サービス(放課後等デイサービス・児童発達支援)特有の項目

  • 安全計画の策定と、計画に基づく研修・訓練(義務)
  • 送迎時の子どもの所在確認の手順整備
  • 自己評価・保護者評価の実施と公表(おおむね1年に1回以上。未公表は減算対象)
  • 学校・保育所等との連携記録

6.自治体ごとの違いに注意

以下の点は指定権者ごとに取り扱いが異なります。

  • 事故報告の様式・報告対象の範囲
  • 面談・実地指導で持参を求められる書類の細目
  • 条例による独自基準(記録の保存年限など)

必ず指定権者(都道府県または政令市・中核市)が公表している**「指定申請の手引き」「実地指導の自主点検表(セルフチェックリスト)」**をご確認ください。自主点検表は、そのまま準備リストとして活用できます。

まとめ ― 書類整備は「開業後の運営」を見据えて

指定面談で求められる書類・マニュアルは、単なる形式的な提出物ではなく、開業後の適正な事業運営の土台となるものです。特にBCP・虐待防止・身体拘束適正化・感染症対策の4項目は、整備を怠ると減算や行政指導に直結します。

「何から手を付ければよいか分からない」「自治体とのやり取りに不安がある」という場合は、専門家への相談をご検討ください。

ひかり行政書士法人のサポート

当法人では、障害福祉サービス事業の立ち上げから運営まで、次のサポートを提供しています。

  • 指定申請の代行・面談への同席サポート
  • 各種マニュアル・指針・BCPの整備支援
  • 実地指導(運営指導)の事前対策・立会い
  • 加算の算定要件チェック、処遇改善加算の届出支援

初回のご相談は無料です。障害福祉事業の指定申請・運営でお困りの際は、お気軽にお問い合わせください。

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