【障害福祉】短期入所(ショートステイ)

短期入所(通称「ショートステイ」)は、自宅で介護を行う方が、疾病・冠婚葬祭・レスパイト(休息)などの理由により一時的に介護を行えなくなった場合に、障害のある方が短期間施設に入所し、入浴・排せつ・食事などの介護その他必要な支援を受けられる障害福祉サービスです。

障害者総合支援法上の区分では「介護給付」に位置づけられます。

利用者本人の支援だけでなく、日ごろ介護を担うご家族にとっての休息の受け皿としての役割も担っています。

「短期入所生活介護」との違い
名称のよく似た「短期入所生活介護」は介護保険法に基づく 高齢者向け のサービスです。ここで解説する「短期入所」は障害者総合支援法に基づく 障害のある方向け のサービスであり、制度・指定基準が異なります。

短期入所の事業形態

短期入所には、実施場所によって次の3つの事業形態があります。開業にあたっては、どの形態で行うかを最初に決める必要があります。

事業形態内容併設事業所(併設型) 障害者支援施設等に併設して行う短期入所事業所
空床利用型事業所 障害者支援施設等の利用されていない居室(空床)を利用して行う事業所
単独型事業所 障害者支援施設等以外に設けられた、短期入所専用の事業所

さらに、受け入れる障害や医療的ケアの必要性に応じて 福祉型 と 医療型 に分かれます。

医療型は病院・診療所・介護老人保健施設等で実施し、遷延性意識障害、筋萎縮性側索硬化症等の運動ニューロン疾患、重症心身障害児・者などを対象とします。

形態選びのポイント

併設型・空床利用型は、本体施設(障害者支援施設、生活介護、共同生活援助など)の人員・設備を活用できるため、既に本体事業を運営している法人が空き居室などを活かして始めるのに向いています。

単独型は本体施設とは別に人員・設備を一式そろえる必要があり、初期投資が大きくなります。自身の事業ビジョンと物件のバランスで選択しましょう。

利用対象者

サービスの利用対象者は次のとおりです。

  • 障害支援区分が 区分1以上 である障害者
  • 障害児に必要とされる支援の度合に応じた区分において区分1以上に該当する障害児

なお、障害福祉サービスとしての短期入所は原則として64歳までの利用が基本となり、65歳以降で要介護認定等を受けた場合は、原則として介護保険制度側のサービスへ移行することになります。

短期入所事業の指定基準

短期入所事業を行うためには、管轄の自治体から障害福祉事業者としての指定許可を受ける必要があります。

指定を受けるための基準としては、法人格・人員基準・設備基準・運営基準 の4つの要件を満たす必要があります。

では、それぞれの要件についてくわしく確認していきましょう。

1.法人格

障害福祉サービスを行うためには、法人格があることが大前提です。

株式会社・合同会社・NPO法人・一般社団法人・社会福祉法人など、法人の種類は限定されません。
※医療型については、法人格のない病院・診療所も指定対象となる取扱いがあります。

すでに法人格をお持ちの場合でも、定款の事業目的に短期入所事業を行う旨の記載 が必要です。

記載がない場合は、事業目的の変更登記が必要となります。

事業目的を広く取り扱える表現としては、

  • 障害者総合支援法に基づく障害福祉サービス事業
  • 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援する法律に基づく障害福祉サービス事業

などが一般的です。

「障害者総合支援法」は略号のため、正式名称での記載を求める自治体もあります。

事業目的は決定する前に必ず管轄の自治体に確認しておきましょう。

2.人員基準

短期入所の人員基準は、事業形態によって考え方が大きく異なるのが特徴です。

サービス管理責任者は不要

就労系サービスや生活介護などと異なり、短期入所には サービス管理責任者(サビ管)の配置は求められません。

また、生活支援員等に特別な資格要件もありません。この点が短期入所の大きな特徴です。

管理者

常勤で1名以上の配置が必要です。

管理業務に支障がない場合は、他の職務や他の事業所の職務との兼務が認められます(取扱いは自治体により異なります)。

従事内容としては、事業所の職員および業務の管理その他の管理を一元的に行うこと、事業所の職員に基準等を遵守させるために必要な指揮命令を行うこととされています。

生活支援員(サービス提供職員)

生活支援員は、利用者の入浴・排せつ・食事等、日常生活上の介護・支援を行います。資格要件はありません。

配置数は事業形態によって次のように異なります。

併設型・空床利用型

本体施設(障害者支援施設等)の人員基準に準じます。

本体施設の利用者と短期入所の利用者を合算した人数に対して、本体施設として必要な員数を確保する考え方です。

本体施設の従業者が短期入所を兼ねて行うことができます。

単独型

提供する時間帯に応じて、次のとおり生活支援員(またはこれに準ずる従業者)を配置します。

  • 生活介護事業所等の日中活動と一体的に行う時間帯
    当該事業所の利用者数と短期入所の利用者数を合算した人数を、その事業所の利用者数とみなした場合に、生活支援員として必要とされる数以上
  • 上記以外の時間帯
    – 当該日の利用者が 6人以下 の場合 … 生活支援員1人以上
    – 当該日の利用者が 7人以上 の場合 … 1人に、利用者数が6を超えて6またはその端数を増すごとに1を加えて得た数以上

なお、障害の程度が著しく重い利用者を受け入れる場合や、医療的ケアが必要な障害児者を受け入れる場合(福祉型強化・医療型など)は、看護職員の配置が必要・望ましいとされるケースがあります。

人員配置の具体的な数え方(常勤換算の考え方を含む)は自治体により運用差があるため、申請予定の自治体へ事前に確認しましょう。

3.設備基準

施設として利用予定の物件について求められる要件は、就労系や生活介護と同様、自治体ごとに取扱いが異なります。

A自治体で不要とされた要件がB自治体で必要とされることもありますので、必ず申請先の自治体へ事前確認を取りましょう。

主な要件としては、

  • 少なくとも「建築確認概要書」が発行される物件であること(「確認済証」「検査済証」まで求める自治体もあります)
  • 都市計画法上の用途地域に制限がないこと
  • 自治体が定めるバリアフリー条例等に違反していないこと
  • 消防設備について消防署の確認が取れていること(防火対象物使用開始届、社会福祉施設相談票の届出など)
  • 耐震性の確保に努めていること ※京都市の場合

などがあります。

物件を確定する前に、建築確認概要書が発行されるか、バリアフリー条例に適合しているか、消防設備の設置や各種届出が必要かを真っ先に調査しておきましょう。

併設型・空床利用型の設備

本体施設(障害者支援施設等)の設備を利用することができます。

ただし、短期入所で使用する居室と本体施設で使用する居室は区分する必要があります。

単独型の設備(主な基準)

居室
  • 1室の定員は4人以下
  • 地階に設けてはならない
  • 利用者1人あたりの床面積は、収納設備等を除き 8㎡以上
  • 寝台またはこれに代わる設備ブザーまたはこれに代わる設備 を備えること
食堂・浴室・洗面所・便所
  • サービス提供に必要な設備として設置。
  • 利用者の特性に応じ、使いやすい構造とすること
 

上記は代表的な要件です。

㎡数や付帯設備の細部は自治体の条例・運用で異なる場合があるため、事前相談で確認しましょう。

4.運営基準

マニュアル等を整備し、法令や条例に定める運営基準に従って適正な事業運営を行う必要があります。

整備すべき主な規程・マニュアルは次のとおりです。

  • 運営規程
  • 重要事項説明書
  • 衛生管理・感染症予防マニュアル
  • 緊急時対応マニュアル
  • 苦情処理対応マニュアル
  • 研修マニュアル
  • 事故発生時対応マニュアル
  • 身体的拘束等の適正化のための指針
  • 個人情報保護方針
  • 業務継続計画(BCP) など

指定申請の流れ

次に、指定申請をする際の手順についてご紹介します。
  • 事前確認 人員基準や設備基準などの指定基準を満たしているか、事前に確認しながら準備をおこなう必要があります。
    本申請を行なう時点では必ずしも従業者の雇用が開始している必要はありませんが、人員の配置には目途が立っている状態にしておきましょう。
    設備基準については、事前相談の際には、事業所情報を提示する必要がありますので、設備基準を満たしているかどうかを慎重に確認しましょう。
  • 申請書類の作成と添付書類の収集 自治体ごとに様式が異なっていますので、申請する自治体の様式を確認し書類を作成するようにしましょう。
    あわせて、勤務先(前勤務先)などに依頼が必要な実務経験証明や行政機関から取得する登記簿謄本などの添付書類を収集します。
    申請書類に不備などがあると申請が受理されない場合もあります。
  • 事前相談と本申請 自治体ごとに事前相談・本申請の取扱いは異なっていますが、多くの自治体では、事前相談を行ったうえで本申請を行うという二段階の申請となっています。
    この期間に補正などを指示されることもあります。
    補正などの修正が遅れると、指定許可日が遅れてしまうこともありますので、迅速に対応するようにしましょう。
  • 面談若しくは実地調査 実地調査は、各自治体ごとにある場合とない場合があります。
    面談や実地調査については、次の書類の提示などが必要となります。
    ・雇用契約書 ・資格者証の原本 ・各種マニュアル関連 など
  • 指定許可通知 指定許可がおり、指定番号が振り分けられれば、事業を開始することができます。

指定申請の注意点

  • スケジュールの管理
    指定許可までは概ね2〜3か月かかります。指定予定日に間に合うよう、人員の確保・設備の整備・申請書類の作成および収集を計画的に進める必要があります。
  • 様式や必要書類
    同種の指定申請であっても、自治体ごとに申請書の様式や添付書類が異なります。申請する自治体で定められた様式・必要書類にしたがって手続きを進めましょう。
  • 申請手順
    申請手順も自治体ごとに異なります。開業予定日に指定許可が取得できるよう、期日を守って正確に手続きを行うことが重要です。
  • 共生型サービスの活用(参考)
    障害者総合支援法の短期入所の指定を受けている事業者は、基準が緩和された介護保険法の「共生型短期入所生活介護」の指定を受けることも可能です。障害のある方が65歳到達後も同じ場所で支援を受け続けられる体制づくりの選択肢として検討できます。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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