【障害児支援】重心型放課後等デイサービス

放課後等デイサービス事業とは、児童福祉法に基づき、学校に就学している障害児に対し、放課後や長期休暇中に通う事ができる通所型の障害福祉サービスとなります。

毎日の放課後や夏休みなどの長期休暇中に利用されるサービスで、個別や集団療育を通じて日常生活での動作の習得や集団生活への適応に向けた支援をおこないます。

そのなかで、重心型放課後等デイサービスは、特別支援学校や小学校・中学校・高等学校に通う重症心身障害児に特化した支援・療育を提供する放課後等デイサービス事業所です。

重症心身障害とは、重度の身体障害と重度の知的障害を併せ持った状態のことをいいますが、医学的な診断名ではなく児童福祉法上の定義になります。

医療的ケア児の利用の有無に関わらず、通常の放課後等デイサービスとは異なり、看護職員を配置する必要があります。

重症心身障害児の未就学児への障害児支援サービスとしては、重心型の児童発達支援事業があります。

放課後等デイサービス事業 小学校から高校生までの障害児
児童発達支援事業 未就学の障害児

それでは、重心型放課後等デイサービス事業の指定基準について、詳しく確認していくことにしましょう。

重心型放課後等デイサービスの指定基準

重心型放課後等デイサービス事業を行うためには、管轄の自治体から指定許可を受ける必要があります。

また、指定許可の有効期間は6年間となっていますので、更新時期が来ると更新申請が必要となります。

指定申請を行うためには、法人格、人員基準、設備基準の4つの要件を満たす必要があります。

法人格 人員基準 設備基準 運営基準

では、それぞれの要件についてくわしく解説していきますね。

1.法人格

法人格、つまり会社を設立する必要があります。

法人格があれば要件を満たすことになりますので、株式会社や合同会社、NPO法人、一般社団法人などからもっとも自分の事業形態にある法人格を選択することになります。

また、法人の事業目的にも、放課後等デイサービス事業を行う旨の内容を記載しておく必要があります。

例としては、

  • 児童福祉法に基づく障害児通所支援事業

が一般的ですが、決定する前に必ず管轄の自治体に確認しておいたほうがよいでしょう。

2.人員基準

重心型放課後等デイサービスのの場合、児童指導員又は保育士と看護職員について常勤性は求められませんが、サービス提供時間内の配置が必要となります。

また、管理者は、管理業務に支障がない場合は、他の職種との兼務可能です。

管理者 1人以上
  • 常勤
  • 児童発達支援管理責任者との兼務可能
児童発達支援管理責任者 1人以上
  • 常勤
  • 資格要件あり
看護職員 1人以上
  • 非常勤可能
  • サービス提供時間内配置
児童指導員又は保育士 1人以上
  • 非常勤可能
  • サービス提供時間内配置
機能訓練担当職員 1人以上
  • 非常勤可能
  • 機能訓練を行う時間帯に設置
嘱託医 1人以上
  • おおよそ月1回程度の訪問で可

児童発達支援管理責任者

有資格者である場合や国家資格者、又は資格がない場合などで必要な実務経験年数が異なります。

また、相談支援従事者初任者研修(講義部分)と児童発達支援管理責任者研修の修了は必須となっています。

  1. 実務経験5年(資格等あり)又は10年(資格等なし)
  2. そのうち3年以上は障がい児支援・障害福祉サービス・児童関係(認可保育園のみOK)
  3. 相談支援従事者初任者研修(講義部分)受講、児童発達支援管理責任者研修修了済み

該当する有資格、国家資格は次の通りとなっています。

有資格者 障がい福祉にかかわる実務経験5年、そのうち3年以上は障がい児支援・障害福祉サービス・児童関係であることが必要です。

  • 社会福祉主事任用資格を有する者
  • 訪問介護員2級以上(介護職員初任者研修)に相当する研修を修了した者
  • 児童指導員任用資格者
  • 保育士
  • 精神障害者社会復帰施設指導員任用資格者
国家資格 国家資格にかかわる実務経験5年以上、そのうち3年以上は障がい児支援・障害福祉サービス・児童関係であることが必要です。

  • 医師、歯科医師、薬剤師、保健師、助産師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、社会福祉士、介護福祉士、視能訓練士、義肢装具士、歯科衛生士、言語聴覚士、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師、栄養士(管理栄養士を含む)、精神保健福祉士

看護職員

常任要件はなく、看護職員として働くには、看護師、准看護師、保健師、助産師いずれかの資格が必要となります

機能訓練担当職員

常勤要件はなく、機能訓練を行わない時間帯は配置の義務はありません。

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士、心理指導担当職員等の資格が必要です。

資格 理学療法士 作業療法士 言語聴覚士 心理指導担当職員

嘱託医

常駐の義務はありませんが、営業時間中は緊急時に対応でき、おおよそ月一回程度の回診を依頼できる体制をとる必要があります。

近隣の医療機関に依頼して確保する場合が多いです。

児童指導員又は保育士

該当する資格がない場合は、最終学歴によって必要な実務経験年数が異なっています。

  1. 資格あり 保育士、社会福祉士、精神保健福祉士、教員免許等 実務経験必要なし
  2. 実務経験2年以上 高卒以上 障害福祉事業の実務経験 ※資格者証・卒業証書・実務経験証明
  3. 実務経験3年以上 中卒以上 障害福祉事業の実務経験 ※資格者証・卒業証書・実務経験証明
児童指導員になることができる資格
  • 地方厚生局長等の指定する児童福祉施設の職員を養成する学校その他の養成施設を卒業した者
  • 社会福祉士の資格を有する者
  • 精神保健福祉士の資格を有する者
  • 学校教育法の規定による大学(短期大学は含まない)の学部で、社会福祉学、心理学、教育学若しくは社会学を専修する学科又はこれらに相当する課程を修めて卒業した者 ※「専修」が要件であるため、大学で社会福祉学等の単位を取得しただけの場合は、非該当
  • 学校教育法の規定による大学(短期大学は含まない)の学部で、社会福祉学、心理学、教育学又は社会学に関する科目の単位を優秀な成績で修得したことにより、同法第102条第2項の規定により大学院への入学を認められた者
  • 学校教育法の規定による大学院において、社会福祉学、心理学、教育学若しくは社会学を専攻する研究科又はこれらに相当する課程を修めて卒業した者
  • 外国の大学において、社会福祉学、心理学、教育学若しくは社会学を専修する学科又はこれらに相当する課程を修めて卒業した者
  • 学校教育法の規定による高等学校若しくは中等教育学校を卒業した者、同法第90条第2項の規定により大学への入学を認められた者若しくは通常の課程による12年の学校教育を修了した者(通常の課程以外の課程によりこれに相当する学校教育を修了した者を含む。)又は文部科学大臣がこれと同等以上の資格を有すると認定した者であって、2年以上児童福祉事業に従事した者
  • 学校教育法の規定により、幼稚園、小学校、中学校、高等学校又は中等教育学校の教諭となる資格を有する者であって、都道府府知事が適当と認めたもの
  • 3年以上児童福祉事業に従事した者であって、都道府府知事が適当と認めたもの
    ※「児童福祉事業」・・・社会福祉法第2条に規定する社会福祉事業のうちの児童福祉法に係る事業(障害児通所支援事業を含む)

3.設備基準

物件の要件確認

事前に施設が以下の要件等に合致するのかの確認を行う必要があります。

確認すべき事項は自治体によって異なりますので、必ず申請先となる自治体への事前確認を行ったほうがよいでしょう。

  • 建築確認概要書・確認済証・検査済証のいずれかが出るかどうか確認します。京都府・滋賀県の場合は「建築確認概要書」があれば大丈夫ですが、自治体によって必要な書類が異なります。
  • 都市計画法上問題がない地域かどうか確認します。市街化調整区域等の事業が不可とされる地域の場合は申請できません。
  • 防火対象物開始届の提出が必要となります。未提出の場合は、管轄の消防署に申請、実地調査をうけて発行してもらう必要があります。誘導灯、消火器等の消防設備の設置が必要となりますので、内装工事などを依頼する工務店さんに同時に依頼するのがベストです。
  • バリアフリー検査済証(自治体のバリアフリー条例などに適合)が発行できるかどうかの確認をします。自治体によっては不要です。京都府必要。滋賀県不要。
  • 耐震性(S56年6月1日以降の新築物件)に問題がないかどうかの確認をします。自治体によっては不要です。滋賀県不要。

物件の広さの確認

普通の放課後等デイサービス事業の最低定員は10名以上となっていますが、重症心身障害児を主に受け入れる場合では定員が5名以上となります。

指導訓練室は、利用者1名あたりの最低㎡数が定められていますので、必要な㎡数の市道訓練室を確保し、その他の相談室、事務室、静養室などを別に確保する必要があります。

指導訓練教室

利用者へのサービス提供に支障がない広さの確保が必要です。

  • 訓練・生産活動等に必要となる器具備品を備えること。
  • 利用者1名当たり約3㎡の確保が必要。利用定員×3㎡。

 相談室

個室又はパーテーションなどで室内における談話の漏えいを防ぐための措置を講じるようにします。

事務室と兼用などの場合、区分するパーテーションの高さはおおよそ180㎝以上のものが必要となります。

事務室等

事務机、パソコン、電話などはもとより、個人情報保護のための鍵付き書庫の設置などが必要となります。

その他

利用者の特性に応じたもので、洗面所、トイレ、静養室、多目的室等を設置します。

4.運営基準

マニュアル等の設置を行い、法令や条例に定める運営に関する基準に従って適正な事業運営を行う必要があります。

設置すべき規程やマニュアルは次の書類などがあります。

  • 運営規程
  • 重要事項説明書
  • 衛生管理・完成症予防マニュアル
  • 緊急時対応マニュアル
  • 苦情処理対応マニュアル
  • 研修マニュアル
  • 事故発生マニュアル
  • 身体的拘束等適正化のための指針
  • 個人情報の利用目的
  • 業務継続計画 など

指定申請の流れ

次に、指定申請をする際の手順についてご紹介します。

  • 事前確認
    人員基準や設備基準などの指定基準を満たしているか、事前に確認しながら準備をおこなう必要があります。
    本申請を行なう時点では必ずしも従業者の雇用が開始している必要はありませんが、人員の配置には目途が立っている状態にしておきましょう。
    設備基準については、事前相談の際には、事業所情報を提示する必要がありますので、設備基準を満たしているかどうかを慎重に確認しましょう。

  • 申請書類の作成と添付書類の収集
    自治体ごとに様式が異なっていますので、申請する自治体の様式を確認し書類を作成するようにしましょう。
    あわせて、勤務先(前勤務先)などに依頼が必要な実務経験証明や行政機関から取得する登記簿謄本などの添付書類を収集します。
    申請書類に不備などがあると申請が受理されない場合もあります。

  • 事前相談と本申請
    自治体ごとに事前相談・本申請の取扱いは異なっていますが、多くの自治体では、事前相談を行ったうえで本申請を行うという二段階の申請となっています。
    この期間に補正などを指示されることもあります。
    補正などの修正が遅れると、指定許可日が遅れてしまうこともありますので、迅速に対応するようにしましょう。

  • 面談若しくは実地調査
    実地調査は、各自治体ごとにある場合とない場合があります。
    面談や実地調査については、次の書類の提示などが必要となります。
    ・雇用契約書
    ・資格者証の原本
    ・各種マニュアル関連 など

  • 指定許可通知
    指定許可がおり、指定番号が振り分けられれば、営業を開始することができます。

指定申請の注意点

  • スケジュールの管理 指定許可までは、約2~3カ月かかるため、 指定予定日に指定許可が取得できるように人員の確保、設備の整備、申請書類の作成・収集を行う必要があります。
  • 様式や必要書類 同種の指定申請であっても、自治体ごとに申請書の様式や添付すべき必要書類などが異なっています。申請する自治体の定められた様式や必要書類にしたがって、手続きを進めていく必要があります。
  • 申請手順 指定申請は、申請手順も自治体ごとに異なっています。開業予定日に指定許可が取得できるように、期日を守って申請手続きを行うことが重要です。予定通りの開業を目指して、正確に手続きを行いましょう。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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