【障害福祉】共同生活援助(障害者GH)

共同生活援助(障害者グループホーム「以下、GHと記載します。」)は、利用者が当該施設に入居し、事業者が様々な生活上の援助を行うサービスとなります。

18歳以上の障害者の方が利用することができ、主に夜間において共同生活を営む住居で相談・入浴・排せつ・食事の介護・その他の日常生活上の援助を行います。

このサービスでは、孤立の防止、生活への不安の軽減、共同生活による身体・精神状態の安定などが期待されています。

共同生活援助の種類

共同生活援助(GH)は、以下の3種に区分されています。

介護サービス包括型
  • GH内の介護サービスは、事業所内で行うタイプのサービスです。
  • 報酬単価は、外部サービス利用型よりも高額となります。
日中支援型
  • 他の共同生活援助がどちらかというと「夜間帯」の支援となりますが、日中活動支援型は「日中帯(加算で夜間支援)」を行うタイプのグループホームです。
外部サービス利用型
  • GH内の介護サービスを、外部の居宅介護事業所が行うタイプのサービスです。
  • 報酬単価は、介護サービス包括型よりも安価となります。

利用定員

各共同生活住居の利用定員は2人以上、原則10人以下となっていますが、8名以上の定員の場合、減算がかかってきます。

法令上の居室数は1住居10部屋までとなっていますが、自治体によっては、おおむね1住居7部屋までと独自の基準を設けていることもあります。

減算条件

利用定員に関わる大規模住居等減算の減算条件は、次の3つとなっています。

  1. 利用定員が8名以上:5%減算
  2. 利用定員が21名以上:7%減算
  3. 一体的運営がなされている共同生活住居の利用定員が21名以上:5%減算

3.の一体的運営とは、同一敷地内(近接地含む)にあり、世話人や生活支援員の勤務体制が住居ごとに区分されていないような場合の共同生活援助事業をいいます。

共同生活援助(GH)の指定基準

共同生活援助(GH)の指定申請を行うための基準としては、法人格、人員基準、設備基準、運営基準の4つの要件を満たす必要があります。

法人格 人員基準 設備基準 運営基準

では、それぞれの要件についてくわしく確認していきましょう。

1.法人格

法人格、つまり会社を設立する必要があります。

法人格があれば要件を満たすことになりますので、株式会社や合同会社、NPO法人、一般社団法人などからもっとも自分の事業形態にある法人格を選択することになります。

また、法人の事業目的にも、居宅介護・重度訪問介護を行う旨の内容を記載しておく必要があります。

例としては、

  • 障害者総合支援法に基づく障害福祉サービス事業
  • 障害者総合支援法に基づく共同生活援助事業

などが一般的ですが、障害福祉サービス事業のように事業を広く扱える表現にしておいたほうが事業目的を追加する必要もなく便利だと思います。

障害者総合支援法という記載についても、実は法律の略号なので、正式名である「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援する法律」と記載するように指示する自治体もあります。

事業目的は決定する前に必ず管轄の自治体に確認しておいたほうがよいでしょう。

2.設備基準(施設)

いくつかの法律で主に以下の事項などについて、施設が立地・設備基準を満たしているかどうかの確認をすることになります。

都市計画法上の基準を満たしているかどうか
  • 施設の所在地の用途地域が、市街化調整区域、工業専用地域以外である必要があります。
建築基準法上の基準施設が要件を満たしているかどうか
  • 自治体によって、どこまで必要であるかの基準に差はありますが、建築確認概要書、確認済み証、検査済み証のいずれかが発行されるかどうかを確認します。
用途変更が必要かどうか
  • 使用面積が200㎡未満かどうかを確認しましょう。200㎡以上になると建物の用途変更が必要となってしまいます。用途変更の手続きは専門の建築士などが行うことになると思いますが、非常に高額であり、物件が勝手な改築などをしていた場合、用途変更の手続き自体ができないというようなケースもあります。
前面道と屋外避難通路を確認しましょう
  • 前面道路が原則として2メートル以上必要となります。
  • 建物の出口から道路に通じる幅員 0.9m 以上の屋外避難通路が必要です。
自治体のバリアフリー条例に適合しているかどうか
  • バリアフリー条例の検査済み証の提出を求める自治体もあります。
建物の消防設備について
  • 消防設備・避難設備について消防の基準に適合しているかどうかを確認します。また、防火対象物開始届の提出がなされているかどうかの確認もします。
その他の注意事項
  • 住宅地又は住宅地と同程度に利用者の家族や地域住民との交流の機会が確保される地域にあり、かつ、入所施設又は病院の敷地外にあることが必要です。
  • 住宅街は建築協定などの確認も必要となります。

2-2.設備基準(各室)

設 備 要 件 備品等
居 室
  • 一つの居室が、7.43㎡以上(収納スペースを除く)
  • 和室であれば4.5畳以上(和室であっても7.43㎡以上を求める自治体などもあります。)
  • 原則、窓が必要
食 堂
  • 居間と食堂を一つの場所とすることは可能です。
 
居 間
浴室等    
洗面所・トイレ
  • トイレ手洗いと洗面所の兼用は不可
  • アルコール消毒液、ペーパータオルの設置
その他
  • 階段寸法を幅75cm以上 、蹴上げ22cm以下、踏面21cm以上であるかどうかを確認しましょう。
  • キッチンなど火気を使用する部屋の壁と天井を燃えにくい材料(準不燃材料)で仕上げる必要があります。
  • 居室と避難経路に非常時に点灯する照明を設置する必要があります。

3.人員基準

職種 配置数 常勤要件 備考
管理者 1名以上 あり
  •  管理業務に支障がでない限り、他の業務と兼務可能
サービス管理責任者 1名以上 なし
  • 非常勤可
  • 管理者と兼務でなければ生活支援員、世話人と兼務可
  • 利用者30人ごとに1名必要 利用者数が31人を超えて30又はその端数を増すごとに1人を加えて得た数以上
生活支援員 1名以上 なし(日中活動支援型の場合、生活支援員・世話人のうち一人は常勤である必要があります。)
  • 常勤換算で、次の①から④までに掲げる数の合計以上
    1. 障害支援区分3に該当する利用者の数を9で除した数
    2. 障害支援区分4に該当する利用者の数を6で除した数
    3. 障害支援区分5に該当する利用者の数を4で除した数
    4. 障害支援区分6に該当する利用者の数を2.5で除した数
      ※新規指定申請の場合は、0・9で換算します。
世話人 1名以上
  • 6:1(包括型の基本単位)
  • 5:1(日中支援型)
    ※新規指定申請の場合は、0・9で換算します。
夜間従事者 1名以上 なし
  • 共同生活住居ごとに一人以上配置(日中支援型のみ必須)
  • 介護サービス包括型と外部サービス利用型は配置することで加算の取得が可能

管理者

管理者は、職員の管理や利用者の申し込みの調整など、主に事業所を統括管理する施設長となる業務を行います。

常勤である必要がありますが、資格要件はありません。

サービス管理責任者

通称「サビ管」といわれるサービス管理責任者は、障害福祉サービスの提供に関わるサービス管理を行います。

具体的には、利用者のアセスメントの実施、個別支援計画の策定・評価、サービス提供のプロセス全体を管理することになります。

共同生活援助の場合、常勤である必要はありません。

また、サビ管になるためには、実務経験と研修の受講が必要となります。

次の表のとおり、研修については、修了済みであることは必須条件ですが、有資格者、国家資格者、資格なしのケースに応じて、必要な実務経験年数が異なっています。

  実務経験 研修受講要件
相談支援業務 接支援業務
資格なしの場合
  • 5年かつ900日以上
  • 8年かつ1440日以上
  • 相談支援初任者研修(2日以上)
  • サービス管理責任者研修
有資格者
  • 社会福祉主事任用資格
  • ヘルパー2級以上
  • 児童指導員任用資格
  • 保育士
  • 5年かつ900日以上
国家資格
  • 医師、保健師、看護師、言語聴覚士、理学療法士、作業療法士、社会福祉士 介護福祉士、精神保健福祉士、あんま・はり・きゅう・柔整師、視能訓練、義肢装具、歯科衛生士、栄養士、管理栄養士
  • 3年かつ540日以上かつ国家資格による業務に3年以上従事

生活支援員

食事や入浴、排せつ等の介護を行います。

資格要件はありません。

また、外部サービス利用型の場合は不要となります。

世話人

個別支援計画に基づき、食事の提供や生活上の相談等、日常生活を適切な援助を行います。

資格要件はありません。

夜間支援従事者

夜間及び深夜の時間帯に勤務する世話人又は生活支援員となります。

日中サービス支援型のみ配置が必須となっています。

4.運営基準

マニュアル等の設置を行い、法令や条例に定める運営に関する基準に従って適正な事業運営を行う必要があります。

設置すべき規程やマニュアルは次の書類などがあります。

各種マニュアルの設置

事業所内に次のマニュアル等を設置・保管している必要があります。
  • 運営規程
  • 重要事項説明書
  • 衛生管理・完成症予防マニュアル
  • 緊急時対応マニュアル
  • 苦情処理対応マニュアル
  • 研修マニュアル
  • 事故発生マニュアル
  • 身体的拘束等適正化のための指針
  • 個人情報の利用目的 様式
  • 業務継続計画

指定申請の流れ

次に、指定申請をする際の手順についてご紹介します。
  • 事前確認 人員基準や設備基準などの指定基準を満たしているか、事前に確認しながら準備をおこなう必要があります。 本申請を行なう時点では必ずしも従業者の雇用が開始している必要はありませんが、人員の配置には目途が立っている状態にしておきましょう。 設備基準については、事前相談の際には、事業所情報を提示する必要がありますので、設備基準を満たしているかどうかを慎重に確認しましょう。
  • 申請書類の作成と添付書類の収集 自治体ごとに様式が異なっていますので、申請する自治体の様式を確認し書類を作成するようにしましょう。 あわせて、勤務先(前勤務先)などに依頼が必要な実務経験証明や行政機関から取得する登記簿謄本などの添付書類を収集します。 申請書類に不備などがあると申請が受理されない場合もあります。
  • 事前相談と本申請 自治体ごとに事前相談・本申請の取扱いは異なっていますが、多くの自治体では、事前相談を行ったうえで本申請を行うという二段階の申請となっています。 この期間に補正などを指示されることもあります。 補正などの修正が遅れると、指定許可日が遅れてしまうこともありますので、迅速に対応するようにしましょう。
  • 面談若しくは実地調査 実地調査は、各自治体ごとにある場合とない場合があります。 面談や実地調査については、次の書類の提示などが必要となります。 ・雇用契約書 ・資格者証の原本 ・各種マニュアル関連 など
  • 指定許可通知 指定許可がおり、指定番号が振り分けられれば、営業を開始することができます。

指定申請の注意点

  • スケジュールの管理 指定許可までは、約2~3カ月かかるため、 指定予定日に指定許可が取得できるように人員の確保、設備の整備、申請書類の作成・収集を行う必要があります。
  • 様式や必要書類 同種の指定申請であっても、自治体ごとに申請書の様式や添付すべき必要書類などが異なっています。申請する自治体の定められた様式や必要書類にしたがって、手続きを進めていく必要があります。
  • 申請手順 指定申請は、申請手順も自治体ごとに異なっています。開業予定日に指定許可が取得できるように、期日を守って申請手続きを行うことが重要です。予定通りの開業を目指して、正確に手続きを行いましょう。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

各種許認可申請について

介護・障害福祉事業以外のその他の許認可申請についてお調べの方は、ひかり行政書士法人の総合サイト「許認可.net」もぜひご覧ください。

介護事業・障害福祉事業についてのお問合わせ

ひかり行政書士法人では、介護事業・障害福祉事業についてのご相談や指定申請サポートのお申込みについて、お電話・メールでのお問合わせを承っております。

京都府・滋賀県・大阪府・兵庫県での介護事業・障害福祉事業についてのご相談は、お気軽にご連絡ください。

指定申請に関するご相談・お問い合わせ
  • 初回相談は無料です、お気軽にお問い合わせください。
  • ご相談はご来所のほか、Zoom等のオンラインでの相談も承っております。
お電話でのお問い合わせ

クリックでお電話↓↓「介護・障害福祉のホームページを見た」とお伝えください。

受付時間:平日09:00-18:00
メールでのお問い合わせ

    電話番号必須

    ご希望の連絡先必須

    メールに返信電話に連絡どちらでも可

    直接の相談をご希望の方は日時をご選択ください
    ※カレンダーのアイコンをクリックすると日付が選べます。

    ご相談日時(第一希望)
    希望時間:

    ご相談日時(第二希望)
    希望時間:

    ご相談日時(第三希望)
    希望時間:

    ※先約が入っている場合は、別の日時をご提案させていただく場合がございます。

    ご相談の内容

    このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleのプライバシーポリシー利用規約が適用されます。

    ページトップへ戻る