【地域生活支援】移動支援

障がい福祉に関するサービスは障害者自立支援法に基づき、同行援護や就労移行支援などの『 障害福祉サービス 』と、移動支援や地域活動支援センターなどの『 地域生活支援事業 』に大別されます。

地域生活支援事業の1つである移動支援事業は、単独では外出困難な障害者(児)が、社会生活上必要不可欠な外出及び余暇活動や社会参加のための外出をする際に、ガイドヘルパーを派遣して、外出時に必要となる移動の介助及び外出に伴って必要となる支援を行います。

また、移動支援事業は『 地域生活支援事業』の1つとなっていますので、地域の特性や利用者の状況に対して柔軟に応じられるよう、利用対象者や支援方法、外出先範囲、費用負担などは、市町村等が裁量権を持っています。

そのため、利用者が居住する市町村(京都市、宇治市など)ごとに指定を取得する必要があり、申請書類や添付書類などは市町村ごとに様々となっています。

移動支援事業の指定基準

指定申請を行うための基準としては、法人格、人員基準、設備基準、運営基準の4つの要件を満たす必要があります。

※既に訪問介護、居宅介護・重度訪問介護の指定を受けている事業所については、新たに人員基準を満たす必要はなく現状の人員で指定を受けることができます。

法人格 人員基準 設備基準 運営基準

では、それぞれの要件についてくわしく解説していきましょう。

基準をおおまかに分けますと 1.法人格、2.人員基準、3.設備基準、4.運営基準を満たすことが必要となります。

1.法人格

株式会社、合同会社、NPO法人、医療法人等の法人格が必要となります。

また、定款 の事業目的に次のような 「実施事業」 の文言が入っていることも必要です。

  • 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく地域生活支援事業
  • 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく相談支援事業

もし入っていなければ、事業目的の変更登記が必要となります

2.人員基準

以下の人員を確保する必要があります。

管理者
  • 専ら職務に従事する常勤管理者で1人以上必要。特に資格要件はなし。
  • サービス提供責任者との兼務も可
サービス提供責任者
  • 従業者の中から移動支援の職務に従事する常勤者が事業規模に応じて1人以上配置されていることが必要です。
  • 資格受講している研修などによって、サポートできる内容が異なりますので、下記の表を確認するようにしましょう。
従業者
  • 介護福祉士、介護職員基礎研修課程修了者、ホームヘルパー養成研修1・2級課程修了者が常勤換算で2.5人以上確保できていること

資格

人員基準の資格要件については、各市町村により取扱いが異なります。

一般的には、介護福祉士や実務者研修修了者などの資格だけであれば、知的障害者 (児)や精神障害者 (児)しかサービスを行うことができません。

例えば、視覚障害者(児)に対してサービスを行うためには、資格とは別にガイドヘルパー養成研修の修了が必要となります。

資格要件 全身性(身体) 難病患者等 知的 精神 視覚
介護福祉士
実務者研修修了者(訪問介護員養成研修1級、介護職員基礎研修)
介護職員初任者研修修了者(訪問介護員養成研修2級)
居宅介護初任者研修修了者(居宅介護従業者養成研修1、2級)
障害者居宅介護従業者基礎研修修了者(居宅介護従業者養成研修3級)
ガイドヘルパー養成研修(全身性障害者)修了者
ガイドヘルパー養成研修(知的障害者)修了者
ガイドヘルパー養成研修(視覚障害)修了者
同行援護従業者養成研修修了者
国立障害者リハビリテーションセンター学院視覚障害学科の教科履修者又はこれに準ずる者
日常生活支援従業者養成研修修了者
重度訪問介護養成研修修了者
行動援護従業者養成研修修了者

3.設備基準

事務室 広さの規定はありませんが、事務机や鍵付き書庫なので設置が必要です。
相談室 相談者のプライバシー保護の観点から個室が望ましいとされていますが、パーテーションでの仕切りも可能です。
衛生設備 感染症予防のため手洗いの洗面所の確保が必要となっています。

4.運営基準

  1. 移動支援計画が作成されていること。
  2. 利用者管理台帳 (サービス提供時の記録、事故の記録、苦情の記録などを記載) が準備されていること。
  3. 同居家族に対するサービス提供を行なわないこと。
  4. 利用者の病状急変時等における主治医への連絡などの緊急体制が整備されていること。
  5. 運営規程の概要、秘密保持、従業者の勤務体制、苦情処理体制等を記載した文書を利用申込者に交付 (説明) し、利用申込者の同意を得た上でサービスの提供を行なうこと。

マニュアル等の設置

マニュアル等の設置を行い、法令や条例に定める運営に関する基準に従って適正な事業運営を行う必要があります。

設置すべき規程やマニュアルは次の書類などがあります。

  • 運営規程
  • 重要事項説明書
  • 衛生管理・完成症予防マニュアル
  • 緊急時対応マニュアル
  • 苦情処理対応マニュアル
  • 研修マニュアル
  • 事故発生マニュアル
  • 身体的拘束等適正化のための指針
  • 個人情報の利用目的
  • 業務継続計画 など

指定申請の流れ

次に、指定申請をする際の手順についてご紹介します。

  • 事前確認
    人員基準や設備基準などの指定基準を満たしているか、事前に確認しながら準備をおこなう必要があります。
    本申請を行なう時点では必ずしも従業者の雇用が開始している必要はありませんが、人員の配置には目途が立っている状態にしておきましょう。
    設備基準については、事前相談の際には、事業所情報を提示する必要がありますので、設備基準を満たしているかどうかを慎重に確認しましょう。

  • 申請書類の作成と添付書類の収集
    自治体ごとに様式が異なっていますので、申請する自治体の様式を確認し書類を作成するようにしましょう。
    あわせて、勤務先(前勤務先)などに依頼が必要な実務経験証明や行政機関から取得する登記簿謄本などの添付書類を収集します。
    申請書類に不備などがあると申請が受理されない場合もあります。

  • 事前相談と本申請
    自治体ごとに事前相談・本申請の取扱いは異なっていますが、多くの自治体では、事前相談を行ったうえで本申請を行うという二段階の申請となっています。
    この期間に補正などを指示されることもあります。
    補正などの修正が遅れると、指定許可日が遅れてしまうこともありますので、迅速に対応するようにしましょう。

    • 面談若しくは実地調査
      実地調査は、各自治体ごとにある場合とない場合があります。
      面談や実地調査については、次の書類の提示などが必要となります。
      ・雇用契約書
      ・資格者証の原本
      ・各種マニュアル関連 など

  • 指定許可通知
    指定許可がおり、指定番号が振り分けられれば、営業を開始することができます。

指定申請の注意点

  • スケジュールの管理
    指定許可までは、約2~3カ月かかるため、 指定予定日に指定許可が取得できるように人員の確保、設備の整備、申請書類の作成・収集を行う必要があります。
  • 様式や必要書類
    同種の指定申請であっても、自治体ごとに申請書の様式や添付すべき必要書類などが異なっています。申請する自治体の定められた様式や必要書類にしたがって、手続きを進めていく必要があります。
  • 申請手順
    指定申請は、申請手順も自治体ごとに異なっています。開業予定日に指定許可が取得できるように、期日を守って申請手続きを行うことが重要です。予定通りの開業を目指して、正確に手続きを行いましょう。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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