同行援護・行動援護|障害・福祉サービス

同行援護と行動援護は、障害者が外出する際などに様々な支援を行う障害福祉サービスとなっています。

サービスの内容

同行援護と行動援護は、両方とも利用者の移動の際の支援を行うサービスとなっていますが、利用者や行えるサービス内容について、違いがあります。

同行援護

同行援護は、視覚障害者のみが利用できるサービスとなっており、視覚障害者の外出時に同行し、移動に必要な情報を提供する支援を行います。

  • 移動中の障害物や、代筆・代読など、移動に必要な情報の提供
  • 移動時の情報提供に加え、目的地での代読代筆

また障害が重く、排せつや食事の介護が必要な場合には、同行援護のサービスを使い身体介護を行ってもらうことも可能です。

行動援護

行動援護とは、重度の知的障害者や精神障害者を対象としたサービスであり、行動上著しい困難のある場合に、本人の危険を回避するための援助や移動の介護を行うサービスです。

行動援護の内容は以下のように定められています。

  • 行動する際に生じ得る危険を回避するために必要な援護
  • 移動中の介護
  • 外出前後に行われる衣服の着脱介助 など
  • 排せつおよび食事などの介護
  • その他の障害者等が行動する際に必要な援助

同行援護・行動援護と移動支援のちがい

同行援護・行動援護と類似したサービスとして、移動支援という障害福祉サービスもあります。

違いとしては、同行援護・行動援護が全国どの市町村でも同じ基準で利用できるサービスですが、移動支援は利用対象者や内容が市町村ごとに異なっています。

また、同行援護・行動援護は、サービスを利用できる障害者の種別や障害支援区分に条件がありますが、移動支援では、移動することに障害がある方であれば、利用申請を行い受給者証を取得していればサービスを受けることが可能です。

同行援護 視覚障害により移動することが困難な人に、移動に必要な情報の提供(代筆・代読を含む)や移動の援護などの外出支援を行います。
行動援護 自己判断能力に制限がある人が、行動するときに危険を回避するため、必要な外出支援を行います。
移動支援 一人で移動することが困難な人が、円滑に外出できるよう移動を支援します。

指定申請の基準

同行援護・行動援護を行うための指定基準は、次の3つの要件を満たす必要があります。

また、指定許可の有効期間は6年間となっていますので、更新時期が来ると更新申請が必要となります。

  • 法人格
  • 人員基準
  • 設備基準

それでは、それぞれの要件についてくわしく見ていくことにしましょう。

法人格

法人格、つまり会社を設立する必要があります。

法人格があれば要件を満たすことになりますので、株式会社や合同会社、NPO法人、一般社団法人などからもっとも自分の事業形態にある法人格を選択することになります。

また、法人の事業目的にも、同行援護・行動援護を行う旨の内容を記載しておく必要があります。

例としては、

  • 障害者総合支援法に基づく障害福祉サービス事業
  • 障害者総合支援法に基づく同行援護・行動援護事業

などが一般的ですが、障害福祉サービス事業のように事業を広く扱える表現にしておいたほうが事業目的を追加する必要もなく便利だと思います。

障害者総合支援法についても、実は法律の略号なので、正式名である「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援する法律」と記載するように指示する自治体もあります。

事業目的は決定する前に必ず管轄の自治体に確認しておいたほうがよいでしょう。

人員基準

事業を行うためには、次の3種類の人員を配置する必要があります。

①管理者
②サービス提供責任者
③従業者

注意点としては、訪問介護・居宅介護・重度訪問介護と人員基準は同じなのですが、サービス提供責任者と訪問介護員は、別途該当する研修を受講済みである必要となります。

管理者

事業所の責任者となり、常勤で主に管理の職務に従事する方を1名以上配置する必要があります。

ただし、職務上の支障がない場合は、同一事業所内の他の職務、または同一敷地内の他の事業所の職務との兼務が認められています。

例えば、管理者とサービス提供責任者は兼務することができ、同一敷地内の訪問介護事業所と居宅介護事業所の管理者を兼務するということも可能です。

つまり、訪問介護・居宅介護・重度訪問介護については、人員要件をそれぞれ満たす必要はなく、重複できることになります。

サービス提供責任者

ケアマネージャーが立てた介護プランを基に、提供するサービスの計画立案やヘルパーへの指示・指導が主な仕事です。

さらに、利用者の家族とコミュニケーションを図り、介護サービスの説明や同意を得ることも行います。

サービス提供責任者は、常勤で1名以上配置する必要があります。

利用者の人数が40人を超えるごとに1人以上の配置を追加する必要があります。

サービス提供責任者の資格要件は次のいずれかの要件を満たすことが必要です。

同行援護
  1. 介護福祉士
    実務者研修修了者
    居宅介護従業者養成研修1旧課程修了者
    居宅介護従業者養成研修2級課程修了者で3年以上介護等の業務に従事した者
    看護師又は准看護師

    同行援護従業者養成研修(一般・応用課程)修了者
    又は
    視覚障害者移動支援事業従事者資質向上研修修了者
行動援護
  1. 行動援護従業者養成研修課程修了者
    又は
    強度行動障害支援者養成研修(基礎研修及び実践研修)修了者

    知的または精神障害に関する実務経験3年以上
  2. 介護福祉士
    実務者研修修了者
    居宅介護従業者養成研修1旧課程修了者
    居宅介護職員初任者研修課程または居宅介護従業者養成研修2級課程修了者で3年以上介護等の業務に従事した者

    知的または精神障害に関する実務経験5年以上

従業者

常勤換算で2.5人以上(サービス提供責任者を含む)の配置が必要となります。

従業者になるためには、次のいずれかの資格要件を満たす必要があります。

同行援護
  1. 同行援護従業者養成研修(一般課程)修了者
  2. 居宅介護従業者の要件を満たす者

    知的または精神障害に関する実務経験1年以上
行動援護
  1. 行動援護従業者養成研修課程修了者
    又は
    強度行動障害支援者養成研修(基礎研修及び実践研修)修了者

    知的または精神障害に関する実務経験1年以上
  2. 居宅介護従業者の要件を満たす者

    知的または精神障害に関する実務経験2年以上

※常勤換算で2.5以上とは「従業者の勤務延べ時間数」÷「常勤従事者の勤務時間数」=常勤換算数。この常勤換算数が2.5以上でないといけません。

次に各職位の配置要件・資格要件などを表にまとめておきます。

職種 配置基準 資格要件
管理者 常勤1名以上

サービス提供責任者との兼務可能

資格要件なし
サービス提供責任者
  • もっぱら訪問介護の職務に従事する者を1名以上
  • 利用者が40人を越えると2人目が必要
  • 非常勤可能
    ただし常勤の2分の1以上の勤務時間が必要
資格要件あり
従業者
  • 人数 常勤換算で2.5名以上
  • サービス提供責任者を常勤換算に含むことができます。
  • 管理者兼サービス提供責任者の場合、管理者として従事する時間が
    常勤換算で最低0.2程度は必要ですが、それ以外の0.8は常勤換算に加算可能となります。
資格要件あり
  • 事務職を除く従業者の要件
    京都府、京都市の場合、事務職を除いて従業者(訪問介護員等)の3割以上の者が、過去、介護サービス、保健医療サービス又は福祉サービスを提供する事業所において、 実務経験として、おおむね2年以上 (非常勤の場合は勤務日数がおおむね400日以上)の職歴を有する必要があります。

設備基準

同行援護・行動援護事業の場合、サービスの提供が利用者宅などへの訪問が主となります。

ですので、設備基準はそこまで厳しいものではありませんが、いくつかの要件を満たす必要があります。

事務室

事務作業を行うためのスペースとして、事務室は最低7.4㎡(四畳半)の広さを確保する必要があります。

また、利用者の重要な個人情報などを保管する必要もあるため、鍵付きの書庫がかならず必要となっています。

相談室

利用者や利用者の親族などが相談に訪れる際の相談スペースの確保が必要となります。

事務室と別室であれば問題ありませんが、事務室と同室である場合には、個人情報保護のため、パーテーションの設置などが必要となります。

次の点などに注意して相談室を設置するようにしましょう。

  • 利用者の利便を考慮すると1階が望ましいものとされています
  • 上階である場合、エレベータ ーがある、職員が介助するなど、車いすを利用されている方等への対応が適切にできると認められる場合、指定を受けることは可能です。
  • 事業所の一部を区切って相談室とする場合は、プライバシーに配慮するため、パーテーションの設置が必要となります。
  • パーテーションの高さはおおむね1.8m以上のものが必要で、できるかぎり防音に配慮したレイアウトでの配置などを確保する必要があります。
  • 相談室の配置については、個人情報の保護及びサービス提供への支障などを考えて、入口付近にあることが望ましいとされています。

指定申請の流れ

次に、指定申請をする際の手順についてご紹介します。

  • 事前確認
    人員基準や設備基準などの指定基準を満たしているか、事前に確認しながら準備をおこなう必要があります。
    本申請を行なう時点では必ずしも従業者の雇用が開始している必要はありませんが、人員の配置には目途が立っている状態にしておきましょう。
    設備基準については、事前相談の際には、事業所情報を提示する必要がありますので、設備基準を満たしているかどうかを慎重に確認しましょう。

  • 申請書類の作成と添付書類の収集
    自治体ごとに様式が異なっていますので、申請する自治体の様式を確認し書類を作成するようにしましょう。
    あわせて、勤務先(前勤務先)などに依頼が必要な実務経験証明や行政機関から取得する登記簿謄本などの添付書類を収集します。
    申請書類に不備などがあると申請が受理されない場合もあります。

  • 事前相談と本申請
    自治体ごとに事前相談・本申請の取扱いは異なっていますが、多くの自治体では、事前相談を行ったうえで本申請を行うという二段階の申請となっています。
    この期間に補正などを指示されることもあります。
    補正などの修正が遅れると、指定許可日が遅れてしまうこともありますので、迅速に対応するようにしましょう。

  • 面談若しくは実地調査
    実地調査は、各自治体ごとにある場合とない場合があります。
    面談や実地調査については、次の書類の提示などが必要となります。
    ・雇用契約書
    ・資格者証の原本
    ・各種マニュアル関連 など

  • 指定許可通知
    指定許可がおり、指定番号が振り分けられれば、営業を開始することができます。

指定申請の注意点

  • スケジュールの管理
    約2~3カ月かかるため、 指定予定日から換算して確実に指定を受けられる様 に、全ての設備の整備と並行して書類等の作成を行わなければなりません。
    特に申請はすべての流れにおいて期日が決まっているため、注意が必要です。
  • 管轄自治体によって、申請手順、様式などが異なります。
    管轄自治体によって申請の手順や申請書類の様式などが異なっています。
    管轄自治体の定めらた手順や様式にしたがって手続きを進めていく必要があります。
  • 確実に指定予定日に指定を受けるためには、期日を守って申請手続きをすること、必要書類を確実に作成することが必須です。
    予定通りの開業を目指して、正確に手続きを行いましょう。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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